ウエディング用語辞典

マーキースカット

マーキースカット(marquise cut)とは、宝石のブリリアントカットの一種で、縦長の楕円形で両端が細く尖った形状のカッティングのこと。上から見ると船のような形をしている。アンティークで気品あるシルエット。マーキーズと表記されることもある。

マーキースとは元々は英語で侯爵夫人を意味する言葉。フランス国王のルイ15世は、愛妾ポンパドール夫人が貴族出身ではなかったため、侯爵(マーキース)の称号を与えた。その頃にパリに現れたこの船形のカットを、ポンパドール侯爵夫人に敬意を表してマーキースと呼ぶようになったと言われる。

マーセライズ加工

マーセライズ加工(mercerization)とは、綿織編物にシルクのような光沢感と高級感を与える加工方法。この加工がされた綿(コットン)生地をマーセライズドコットン(mercerized cotton)と呼び、テイルコート(燕尾服)用のベストなどに用いられる素材のひとつ。

マーセライズ加工は、綿糸や綿生地に張力を加えながら、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)溶液を含侵させた後、中和して乾かすことによって、シルクの様な光沢、風合いを出し、強度を持たせ毛玉になりにくし、色持ちのよさを与える加工法。

綿は比較的低い温度で強いアルカリに触れると大きく膨らむ性質がある。元々扁平な断面をした繊維は膨らむと円形に変形し、その時に糸あるいは生地に張力を加えると、繊維表面の平滑性が高まり光沢が増える。同時に収縮率が安定し、皺(しわ)や型崩れのしにくい防縮性を持つようになる。

マーセライズ加工の語源は、1844年にこの方法を発見したジョン・マーセラー(John Mercer)から名づけられた。シルケット加工とも呼ぶ。

マーメイドライン

マーメイドライン(mermaid line)とは、上半身から腰、膝のあたりまでぴったりと体にフィットし、膝下からギャザーやフレアを入れて裾が広がっているデザインのドレスのこと。マーメイドとは人魚の意味で、裾を尾ひれに見立て、ドレスラインが人魚のように見えることが名前の由来。フランス語で「魚のライン」という意味のリーニュポワソン(ligne poisson)と同義。

ボディコンシャスなシルエットは、女性ならではの柔らかく美しいラインを引き出し、エレガントで大人っぽい雰囲気を演出できる。また、歩く姿を美しく見せる効果もある。背が高くグラマラスな方が身に着けると映えるドレスライン。ブーケは流れのある形状のキャスケードやクレッセントが似合う。シンプルな雰囲気にしたいならば縦に長い形状のクラッチを選ぶと良い。

前撮り

結婚式よりも前に別途記念撮影の機会を設けること。結婚式当日はスケジュール的な制約があり、ゆっくり写真を撮る時間がない場合や、結婚式で着ない衣装の写真を撮りたい場合などに行う。結婚式よりも後に撮影する場合も含めて、別撮りと言う場合もある。フォトスタジオで撮影する記念撮影や、海やガーデンなどのアウトドアで撮影するロケーションフォト、チャペルで結婚式を模擬して撮影するフォトウエディングなどがある。前撮りには、撮影料の他に、衣装レンタル代やヘアメイク代などがかかるが、セットプランとしてパッケージ料金になっていることが多い。結婚式当日と同じ衣装で前撮りすれば、ヘアメイクのリハーサルを兼ねることもできる。

巻き薔薇

布を巻いて薔薇(バラ)の形を模した装飾品のこと。ドレスと同じ素材の生地で作り、肩や胸などに飾られることが多い。巻いて形作られるため、あまり大きなものはない。市販されている巻き薔薇はサテンのリボンを巻いて作られているものが多い。

松魚節

松魚節(まつうおぶし)とは、結納の際に贈られる結納品のひとつで鰹節のこと。9品目に含まれるが、略式結納の7品目には含まれない。鰹節の切り口が松の樹の年輪に似ていることから、松の緑の気高さを讃える意味で松魚節と呼ばれる。雄節(背節)と雌節(腹節)を一組にして贈る。雄節と雌節を合わせて夫婦一対を意味したり、合わせた形が亀の甲に似ていることなどから、鰹節は特に縁起の良いものとされ慶事によく用いられる。鰹節はたくましい男性の象徴とされ、元気な子供を産み育てるようにとの祈願の意味も込められる。また、栄養価が高く保存食であることから、不時に備えての食料として贈られていた。鰹節の雅語として他に、勝男節、勝男武士、嘉津男婦志と書く地方もある。

マット仕上げ

つやのない、地金の表面仕上げ方法のひとつ。表面に細かな凹凸を刻むことにより光を乱反射させ、しっとりとして落ち着いた質感と鈍く光る輝きが特徴。つや消し、梨地仕上げとも呼ばれる。梨地とは果物の梨の表面のようにザラザラした質感に由来する。

研磨の仕方や表面の仕上げによって様々な種類に分類される。サンドペーパーやブラシなどで表面に傷を付ける方法と、コンプレッサーによる圧縮空気で砂などの研磨剤を金属表面に吹き付けて荒らす方法などがある。

  • 【主な研磨処理の種類】
  • ・ブラスト処理:圧縮空気で研磨剤を吹き付ける仕上げ。研磨剤の種類によってサンドブラストやショットブラストなどがある。
  • ・液体ホーニング(科学梨地):研磨剤を含む腐食性の溶液を噴射して仕上げる。
  • ・バフ研磨:布を重ねた研磨輪に研磨剤を付着させて、高速回転させることで研磨する方法。メッキの下地処理や仕上げ処理などに幅広く使われる。
  • ・ブラッシング研磨:ピアノ線やステンレス鋼線などを植えたブラシや研磨輪を用いる研磨方法。

  • 【方向性のある仕上げ方法】
  • ・サテン仕上げ(サテーナ仕上げ):サテンのように表面に細かく短い不連続の筋目を均一に付けた仕上げ。
  • ・ヘアライン仕上げ:細かい筋模様を連続させた仕上げ。

マフ

マフ(muff)とは、毛皮などで作られた円筒形の防寒具で、両手を入れて暖める女性用の小物。指輪などをして手袋ができない際に使用されるものだが、防寒のためだけでなく装飾的な意味合いでも用いられる。イブニングドレスなどに合わせることも多く、エレガントな雰囲気を表現できる。

マフの内側に小物を入れるポケットが付いた機能的なものもある。また、トレーナーやピーコートのポケットのように、たて切り筒状のポケットのことをマフポケットと呼ぶ。

マリアベール

マリアベール(mariaveil)とは、花嫁が使用するベールの一種で、顔を隠さずにベールの端を頭の上に被せて、ほほの横にベールの端がくるように着用する。聖母マリアが召したベールが名前の起源。マリアベールには縁に大きな刺繍が施されていることが多く、ドレスがシンプルでも全体的にゴージャスな雰囲気を演出できる。顔を隠さないため教会式の挙式でのフェイスアップの儀式ができない。マリアベールを禁止している教会もあるので事前に確認をしておくとよい。

マリエ

マリエ(Mari'ee)とは、フランス語で「結婚、嫁ぐこと」を意味する言葉。ロープ・ド・マリエ(Robe de Mari'ee)は、新婦が結婚式に着用する花嫁衣裳全体を指し、英語のウエディング・ドレスと同義語として使われる。日本ではロープ・ド・マリエを略して、マリエをウエディングドレスの意味で和製仏語として使われることも多い。

マリッジブルー

マリッジブルー(marriage blue)とは、結婚前に陥る躁鬱状態や情緒不安定のこと。結婚式の準備や新生活への不安と緊張、相手への不満やすれ違いなどが原因で、本来は幸福である結婚を思い悩み、本当に結婚して良いのかためらってしまう。女性がマリッジブルーになることが多いが、男女問わずなる可能性がある。マリッジブルーは和製英語。ウエディングブルー、エンゲージブルーなどともいう。

二人のコミュニケーション不足を解消したり、親しい友人に相談したり、第三者に入ってもらうなどの対処をするとよい。また、医師の治療やカウンセリングを受けたほうがいい場合もあるので、不安が解消されないならば専門家に相談するとよい。

マリッジリング

結婚後に新郎新婦がはめる結婚指輪のこと。挙式の結婚誓約後に指輪を交換する。日本では結婚指輪をマリッジリング(marriage ring)と呼ぶが、本来はウエディングリング(Wedding Ring)、またはウエディングバンド(wedding band)が正しい。結婚指輪のデザインは常に身に着けているものなので、甲丸リングや平打リングをベースにアレンジしたシンプルで飽きのこないデザインが主流。一説によると、1554年、イギリスのメアリー女王とスペインのフェリペ2世の結婚に際に、甲丸指輪を用いたのが起源とされている。

結婚指輪は古代ローマ時代より取り交わされるようになる。初め素材は鉄だったが、ローマ時代後期には金へと変わっていく。現代でも欧米では金のマリッジリングの主流。日本では圧倒的にプラチナの人気が高い。

左手の薬指にはめる由来は幾つかの説がある。一つは左手薬指の血管が直接心臓と繋がっているいう古代エジプトの言い伝えから来ている。また、11世紀頃、教会が結婚指輪に祝福を与えるようになり、同時に結婚指輪を左手の薬指にはめる習慣が生まれたとされる説もある。西洋では指輪をはめる指によって意味を持たせる慣習があり、左手は「服従と信頼」を表し、薬指は「愛情」の印とされている。そこで薬指にはめる習慣が始まったとされる。継ぎ目のない「輪」は、永遠不滅の愛を象徴し、 結婚指輪には「誠実・貞節」の意味がある。これは配偶者への永遠の愛・誠実・貞節を約束すると同時に、神様に対しても永遠の愛・誠実・貞節を誓うことを意味している。

丸帯

丸帯(まるおび)とは女帯の一種で、戦前までは最も格式の高い第一礼装用の帯とされていたが、現在ではほとんど廃れて、婚礼衣裳や舞妓の衣裳として用いられている。金、銀を織り込んだ豪華な文様で、広幅地と呼ばれる普通の帯の倍幅で織り、二つ折りにして帯芯を入れて仕立てる。そのため、表裏ともに文様があり、片方にのみ縫い目がある。

一般的な丸帯の幅は約65cm〜70cm、長さは約4m〜4m50cm。柄は全面に文様付けされている全通なので、どのような結び方も可能だが、重くて硬いのであまり便利なものではなく、代わりに明治時代に袋帯が考案される。

マンダリンスリーブ

マンダリンスリーブ(mandarin sleeve)とは、長袖のシルエットのひとつで、肩から肘(ひじ)までは腕にぴったりとして、肘から袖口にかけてゆるやかに広がった袖のこと。ウエディングドレスでは、オーガンジーやシフォンなどの軽くて透けて見える生地やレース生地を用いてマンダリンスリーブを作り、たおやかで優雅な雰囲気を表現する。

マンダリンとは中国、清朝時代の高級史のことで、彼らが着用していた官服に由来するためマンダリンスリーブと呼ばれる。元々の官服は全体的にゆったりとした長い広袖で、前身頃と後身頃に着用者の階級を表した大きな正方形の豪華な中国刺繍が施されている。

【出典:ウエディング用語辞典
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