男性衣裳
その他
礼装
礼装は、昼間と夜間で区別され、さらに正礼装(モストフォーマルウエア:most-formal wear)、準礼装(セミフォーマルウエア:semi-formal wear)、略礼装(インフォーマルウエア:informal wear)の3種に分類される。フォーマルウエア(formal wear)は、礼服、礼装の総称。
その式典やパーティに自らがどう関わるかによって装いの格を選ぶ。主賓として呼ばれたり、主役との関係が近い存在として参席するのならば、より格の高い装いをする。一般の列席者であるならば、主役を引き立てるためにも、主役よりも格の低い装いでまとめる必要がある。
男性の正礼装は、昼はモーニング、夜はテイルコート(燕尾服)とタキシード。準礼装は、昼はディレクターズスーツ、夜はタキシード。略礼装は、一般的にダークスーツ、ブラックスーツなどを指す。
女性の正礼装は、昼はアフタヌーンドレス、夜はイブニングドレス。準礼装は昼はアフタヌーンドレス、夜はカクテルドレス。略礼装には昼はスーツ、夜はロングドレスなどを着用する。しかし、女性の場合、衣裳の名称だけでは正・準・略の明確な線引きはあまり無く、TPOにあわせて、肌の露出度やドレスの素材感、アクセサリーなどをうまくコーディネートすることで着こなすとよい。
正礼装
正礼装とは、19世紀から20世紀初頭にかけてヨーロッパで確立された、正式な式典やパーティに着用する服装のこと。時間帯によって区別がある。
男性の正礼装は、昼はモーニング、夜はテイルコート(燕尾服、ホワイトタイ)とタキシード(ブラックタイ)とされるが、モーニング、テイルコートは共に古い時代衣裳となり、特別な場以外では着られることはあまりない。また、タキシードを昼過ぎから着用することも多い。女性の正礼装は、昼はアフタヌーンドレス、夜はイブニングドレスを着用する。
準礼装
準礼装は正礼装の次に格式が高い服装で、パーティや式典などに幅広く着用される。準礼装は20世紀になって確立された、通常のスーツよりも格式のあるワンランク上の服装。準礼装のことをセミフォーマル(semi-formal)という。男性の準礼装は昼はディレクターズスーツ、夜はタキシードになる。女性の準礼装は昼はアフタヌーンドレス、夜はカクテルドレスを着用する。
略礼装
略礼装は礼装の方法を一部省略したもので、英語でインフォーマル(in-formal)。"in" は否定形を表す接頭語で、 "in-formal" で「フォーマルではない」となり、「正式ではない、略式の」という意味になる。
男性の略礼装は、ダークスーツ、ラウンジスーツ(lounge suit)やブラックスーツ。女性の略礼装はスーツやロングドレスなど。スーツに蝶ネクタイ、アスコットタイやポケットチーフなどの礼装用の小物を部分的に用いてコーディネートすることで略礼装になる。ちなみにブラックスーツ白ネクタイの略礼装が通用するのは日本だけなので、海外でのパーティに出席する際には注意した方が良い。
平服
平服(へいふく)とは、タキシードなどの礼服の正装に対して、普段着、仕事着として着ている服を意味し、カジュアルウェア、ビジネススーツなどのこと。
しかし、結婚式や披露宴、正式な場への招待状でドレスコードに平服が指定されている場合は、平服は単なる日常着ではなく、「平服」=「略礼装」のことを意味する。ジーンズなどのカジュアルな普段着を着用していくと恥をかくことになるので注意。この場合の平服は、一般にダークスーツと呼ばれる、黒、紺、チャコールグレー(黒に近い灰色)といった濃色のスーツのことを指す。
ビジネススーツとして普段着用しているダークスーツでも、立襟のシャツに蝶ネクタイ、アスコットタイやポケットチーフなどの礼装用の小物を部分的に用いてコーディネートすることで略礼装になる。ちなみにブラックスーツ白ネクタイの略礼装が通用するのは日本だけなので、海外でのパーティに出席する際には注意した方が良い。
略礼服
略礼服とは、いわゆる一般的なブラックスーツのこと。日本独自の略礼装で、朝から夜まで、慶事・祝事・弔事と、着方によって冠婚葬祭にオールマイティに対応できる便利な礼服。慣習的に慶事には白かシルバーのネクタイを、弔事には黒のネクタイを合わせる。ただし海外では礼服ではなく、単なる黒のビジネススーツとしてしか見られない。特に黒スーツに白ネクタイは裏世界の人間と見えるらしい。本来の準礼装は昼間はディレクターズスーツ、夜間はタキシードを着用する。
ブラックスーツは、昼の準礼装のディレクターズスーツを基に、1960年代に日本で作られた。高度成長期の新生活運動(冠婚葬祭の簡素化を目指した農村運動)の流れの中で全国に普及する。年配の方の間ではいまだに略礼服が礼装と信じている人が多いが、最近の若者の間では略礼服離れが進んでいる。
フォーマルウエア
フォーマルウエア(formal wear)とは、礼服、礼装の総称。昼間と夜間で区別され、さらにモストフォーマルウエア(most-formal wear:正礼装)、セミフォーマルウエア(semi-formal wear:準礼装)、インフォーマルウエア(informal wear:略礼装)の3種に分類される。
セミフォーマル
セミフォーマル(semi-formal)とは準礼装のこと。正礼装の次に格式が高く、昼はディレクターズスーツ、夜はタキシードになる。セミフォーマルは、通常のスーツよりもワンランク上の服装で、パーティや式典などに幅広く着られる服。セミフォーマル・ウェアの略。
日本における定番のブラックスーツは、略礼装にあたる。ブラックスーツでも蝶ネクタイを合わせると準礼装となる。このブラックスーツは、昭和20年台後半、日本のフォーマルメーカーが考案した日本独自のもの。海外挙式や外国人のパーティではブラックスーツは避けたほうがよい。ブラックスーツに白ネクタイは、日本では結婚式の礼装だが、外国人の目にはマフィアに見えるとか。
インフォーマルウエア
インフォーマルウエア(informal wear)とは、略礼装のこと。一般的にダークスーツ、ブラックスーツなどを指す。 "in" は否定形を表す接頭語で、 "in-formal" で「フォーマルではない」となり、「正式ではない、略式の」という意味になる。
ドレスコード
ドレスコード(dress code)とは、服装規定のこと。公式の行事や正式なパーティ、冠婚葬祭では、周囲の雰囲気を損なわないために、時間帯や場所に相応しい服装をする必要があり、その場面に適した服装のことをドレスコードという。"dress code" の "dress" は「衣服、正装」、 "code" は「礼儀作法、慣例、規範」などの意味で、あわせて「服装規定」「服装規制」とも訳される。
正式なパーティでは会場や主催者側が礼装を指定する場合も多く、招待状・案内状にドレスコードを記すのが招待する側のマナーである。また、招待される側も周囲への配慮ができる。招待状などに「ホワイトタイ着用」とあればテイルコート(燕尾服)、「ブラックタイ着用」ならタキシード着用の指示となる。
ドレスコードに「平服」が指定されている場合は、平服=普段着ではなくて略礼装を着用する必要がある。ちなみにブラックスーツ白ネクタイの略礼装が通用するのは日本だけなので、海外でのパーティに出席する際には注意した方が良い。
国レベルでは、王室、首相、閣僚、大使、その関係者などにおいて、その役職や格により、儀式や晩餐会の内容に応じて、その都度の服装が伝統的に細かく規定されている。
また、レストランなどの商業施設や宗教施設において、ノーネクタイや短パン、サンダルなどを禁止する「服装による入場規制」を「ドレスコード」と呼ぶこともある。
マーセライズ加工
マーセライズ加工(mercerization)とは、綿織編物にシルクのような光沢感と高級感を与える加工方法。この加工がされた綿(コットン)生地をマーセライズドコットン(mercerized cotton)と呼び、テイルコート(燕尾服)用のベストなどに用いられる素材のひとつ。
マーセライズ加工は、綿糸や綿生地に張力を加えながら、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)溶液を含侵させた後、中和して乾かすことによって、シルクの様な光沢、風合いを出し、強度を持たせ毛玉になりにくし、色持ちのよさを与える加工法。
綿は比較的低い温度で強いアルカリに触れると大きく膨らむ性質がある。元々扁平な断面をした繊維は膨らむと円形に変形し、その時に糸あるいは生地に張力を加えると、繊維表面の平滑性が高まり光沢が増える。同時に収縮率が安定し、皺(しわ)や型崩れのしにくい防縮性を持つようになる。
マーセライズ加工の語源は、1844年にこの方法を発見したジョン・マーセラー(John Mercer)から名づけられた。シルケット加工とも呼ぶ。
ピーコック革命
ピーコック革命は1960代後半に起こった男性ファッションのムーブメント。ピーコックとは孔雀のことで、孔雀は雄の方が華麗であることから、男性にも個性的なファッションを取り入れようという革命的な動き。フォーマルウェアにも影響を与え、奇抜な形のデザインタキシード、色柄物のタキシード、フリルのシャツなどが験される。また、礼装用以外のシャツや小物を取り込んだ着装もみられた。
現在ではタキシードは再び黒一色に戻り、ファンシータキシードはカジュアルなパーティや披露宴などに着られるのみとなっている。