結納
書類
目録
目録とは結納品の内容を記したもの。「茂久録」とも書かれる。結納品を贈る側が用意し、結納の際に結納品と一緒に贈られる。一方受け取った側は受領の証として「受書」を返す。目録は薄い白木の板で作られた献上台の片木盆(へぎぼん)に結納品や結納金と共に載せて取り交わす。目録は結納を購入した際に付いてくる場合が多く、日付・名前等を記入すれば良いだけになっている。結納に合わせて、家族の名前を記した「家族書」および親族の名前を記した「親族書」を交換する習慣もある。
目録は奉書を2枚重ねにして半分に折り、わを下にして毛筆で書く。宛先は一般的に親名義だが、最近は本人名義の場合もある。表書きは目録もしくは寿と書く。文末には句読点を打たない。日付は「平成○○年○月吉日」と、明確な日にちではなく吉日と記す。本来、目録は納品書のようなものなので水引を掛けなくても良いのだが、実情では水引を掛けた目録が一般的である。
目録に記載する内容は、具体的な結納品名と個数を列記するが、寿留女(するめ)、子生婦(こんぶ)、勝男武士(かつおぶし)などと当て字の雅語で書く。結納金は、男性側から女性側に贈る際は、「御帯料(おんおびりょう)」「小袖料」「帯地料」などと書き、受書も同じ表記をする。女性側から男性側に結納金を贈る場合は「御袴料(おんはかまりょう)」(受書も御袴料)と書くのが一般的。
婚約指輪や時計などの結婚記念品を贈る場合は同時に記載し、指輪は「優美和(ゆびわ)」、時計は「登慶・十慶(とけい)」などと当て字される。なお、婚約指輪は結納金の一部に含まれるので、男性からは「御帯料壱封結美和付」、女性から記念品として男性に時計を贈る場合は「御袴料壱封登慶付」などと表記しても良い。
受書
受書(うけしょ)とは、結納品を受け取る側が受領した証として用意し、納める側に渡すもの。婚約の印として受け取った結納品の品目を書き、「これこれの結納品を確かに受け取りました」と書き記す。
本来は結納を贈る側が目録を用意するのに対して、頂く側が受書を結納式のその場で筆書きするものだったが、近年では筆をとって当日書く方は少ない。事前に結納品の内容がわからないなどの理由で、新郎側が用意するケースが増えている。通常、結納品を購入すると受書も付いてくる場合が多い。その場合は新婦側は内容を確認の上、捺印して新郎側に返却する。
両家が一堂に会して結納を交換するなど、その場で受け取りが確認できる場合は省略も可能。
釣書
釣書(つりしょ)とは、見合いの時などに取り交わす、身上書・親族書を指す。釣り書き(つりがき)ともいう。釣書には、身上書(もしくは履歴書と家族書)と親族書を封入し、仲人を介して先方に渡す。白無地の上質封筒を用いて、水引や熨斗は付けない。
釣書は血縁関係などを示す「系図」を意味し、氏名と氏名を線で結んだ様が文字をつるしたように見えることが由来とされる。 見合い結婚、すなわち媒酌結婚は武家社会が起源で、武家の間で縁談の際に互いの系図を交換していたため、こうした呼び名が残っているとされる。本当は「釣書」ではなく「衡書」。つまり、両家の家柄のつりあいが取れるかどうかを事前に調べるためものであった。
身上書に書く内容は、氏名・生年月日・本籍・現住所・学歴・職歴・身長・体重・趣味・特技・資格、家族の氏名・生年月日・職業・学歴・両親の出身地など。身長・体重・特技・資格・家族の学歴、出身地などは書かれていない場合もある。
家族書
家族書とは、同じ戸籍(同居中)の家族の氏名、年齢、続柄を記したもの。結納時に両家で交換する。親族書には、家族書以外の三親等内の親族を記載する。最近は家族書だけにしたり、どちらも省略する場合もある。特にお見合い時に釣書を交換している場合はそれで済まされることも多い。ただし、取り交わすなら双方とも同じように用意しなくてはならない。また、家族の現在の状況を記した身上書を添える場合もある。身上書は家族書・親族書と異なり、決まった形式はなく自由に書いて良い。
家族書は、一般的に本人から2親等までの同居している家族のみで、別所帯を持っている兄弟は親族書に書く。年長者から記入し、本人は一番最後に書く。家族の配偶者も書く。具体的な続柄でいえば、「祖父・祖母・父・母・兄・姉・弟・妹・本人」となる。
家族書・親族書は奉書を奉書紙に墨で書くのが正式だが、白い便箋にペン書きでも構わない。奉書紙の場合は、横長に二つ折りにし、折り目を下にして墨書きし、左、右の順に三つ折りにして上包みをかける。ペン書きの場合は、下から三つ折りにして白い長封筒に入れる。表書きは「家族書」「親族書」と記す。
身上書
身上書とは、結婚を前提とした交際をするときに、相手方に渡す履歴書のようなもの。内容は履歴書に記載する項目に家族の状況を記したもの。特に決まったパターンは無い。家族書・親族書がやや事務的なのに対し、身上書は家族の現在の状況を文につづる。白無地の上質紙にボールペンや万年筆書きで良い。釣書に封入し、仲人を介して先方に渡す。見合いの際に相手に渡す「釣り書き」も身上書の一種。
身上書に書く内容は、氏名・生年月日・本籍・現住所・学歴・職歴・身長・体重・趣味・特技・資格、家族の氏名・生年月日・職業・学歴・両親の出身地など。身長・体重・特技・資格・家族の学歴、出身地などは書かれていない場合もある。
親族書
親族書とは、生存している3親等内の親族の名前・続柄・年齢・住所・職業などを記した書類のこと。結納の際に家族書と親族書を両家で交換するが、最近は親族書は省略する場合もある。本人から2親等までの親族は家族書に記し、具体的な続柄でいえば、「祖父・祖母・父・母・兄・姉・弟・妹・本人」は家族書になる。
その昔は、親族一同が結婚に賛成しているという証書の代わりにしてが、近年では家族・親族の紹介をしあう意味合いが強い。両親の兄は伯父、姉は伯母、弟は叔父、妹は叔母と記す。
家族書・親族書は奉書を奉書紙に墨で書くのが正式だが、白い便箋にペン書きでも構わない。奉書紙の場合は、横長に二つ折りにし、折り目を下にして墨書きし、左、右の順に三つ折りにして上包みをかける。ペン書きの場合は、下から三つ折りにして白い長封筒に入れる。表書きは「家族書」「親族書」と記す。