挙式
神前式
神官
神官(しんかん・かみづかさ)とは、神前式を司る人。
巫女
巫女(みこ・ふじょ)とは神道の神職の助手的な仕事に仕える女性のこと。元々は神託を聞き、民へ告げるシャーマン的な役割であった。神前結婚式においては、玉串奉奠(たまぐしほうてん)での玉串や三々九度の御神酒を新郎新婦に手渡したり、神楽に合わせて舞を奉納するなど、神職の司式の補助としての役割を果たす。白い小袖に緋色の女袴を合わせたものが一般的な巫女装束で、長い黒髪を後でひとつに束ねているのが典型的なイメージである。未婚の若い女性が務めることが多い。
巫は「かんなぎ」と読まれるが、これは神意を伺い神託を告げることを行う「神招ぎ」から由来する。この巫に女が付いたものが巫女だが、同じ意味で巫女を「かんなぎ」とも読む。畏れ敬いを表す「御」に、女性を意味する「子」を合わせて御子、また神の子の意味で神子と書かれることもある。
誓詞
誓詞(せいし)とは、神前式において、夫婦の守るべき道が書かれたもので、新郎新婦の連名で綴った誓いの言葉。誓詞を読み上げることにより神に結婚を誓う。誓詞奏上(せいしそうじょう)とは、神前挙式の儀式のひとつ。三献の儀、指輪交換の後に、新郎新婦が神前に進み出て、誓詞を読み上げる。主に新郎が読み、新婦は自分の名前のみを読み加える。読み終えた誓詞は左から巻き玉串案上に置く。 誓詞は定型文が式場に用意されており、一般的に古語ではなくて現代語で書かれている。また希望があれば自分たちの言葉ですることも可能。
玉串
玉串(たまぐし)とは、榊の枝に紙垂(しで)という紙を取り付けたもの。神に捧げる供え物の弊帛(へいはく)の一つ。玉串を神前に捧げる事によって恭順の心を表し、神と人を繋ぐ。紙垂は神の衣を、榊は神の繁栄を表す。玉串は神前式の挙式で神殿に捧げられる。
玉串奉奠(たまぐしほうてん)は神に玉串を捧げる儀式。神職・巫女から玉串を両手で受け取り、軽く一礼した後に、神前に用意された案(机)の前に進み出て、時計回りに半回転させ、根の方向が神に、葉の方向が自分の方向を向く様にして捧げる。 奉奠した後は、二礼、二拍手、一礼の作法で拝礼して席に戻る。神前式の挙式では、誓詞奏上の後に玉串奉奠が行われる。新郎新婦のが奉奠した後、媒酌人も同様に奉奠する。
榊
榊(さかき)は神事に使用する木で、暖地の山林に自生するツバキ科の常緑樹。榊とは「神」と「木」の合字なので、神の木、もしくは神に供される木という意味になる。
榊の語源は、神の聖域と人間の俗社会との「堺」を示す木、つまり「堺木(さかいき)」が転じたという説や、栄える木という意味で「栄木(さかき)」、神聖な木を意味する「賢木(さかき)」が転じたという説がある。
本来、榊とは固有の植物名ではなかった。のちに特定の木を指して榊と呼ぶようになった。榊が生育しない地方では、同じ常緑樹である杉・樫(かし)・樅(もみ)などが代用される。神の枯れる事のない永遠の恩恵を表すために、一年中緑を保つ常緑樹が用いられる。
三方
三方(さんぼう、さんぽう)とは、神前挙式の際に使う、供物を載せる四角い台。通常は檜などの素木(しらき)による木製で、折敷(おしき)と呼ばれる盆の下に直方体状の台(胴)がついた形をしている。台の三方向に穴があいていることから、「三方」と呼ばれる。神前に供える際は、穴のない側(綴り目の反対側)が神前に向くようにする。神饌が載った三方を持つときは、親指を左右の縁に、その他の指を折敷と台に当て、目の高さに持つ。
三献の儀
三献の儀(さんこんのぎ)とは、神前結婚式の三三九度の杯の儀式のこと。さんけんのぎ、さんごんのぎとも読む。本来は出陣・帰陣・祝言などの際の献杯の礼を指す。打ちあわび、勝ち栗、昆布の三品を肴に酒を三度ずつ飲み干す。室町時代より武士の出陣・婚礼・式典・接待宴席などで重要な儀式とされた。とくに出陣での三献は三献目の盃を飲み乾した後、地面に打ち付けて割り、大将が鬨(とき)の声を挙げ陣営を鼓舞する。現在では、結婚式の三三九度のほか、正月や選挙の出陣式、端午の節句や七五三、祭りなどにて行われる。
三三九度
三三九度(さんさんくど)とは神前挙式の儀式のひとつ。小中大の盃を新郎新婦が順に酌み交わす儀式。交互に各三回ずつ、計九杯のお神酒を飲む。神前式の進行の中で祝詞奏上の後に行われる。巫女が注いだ御神酒の杯を両手で受け、最初の二口は杯に口をつけるだけで、三口目で飲み乾す。お酒が飲めない人は飲むまねだけでよい。二人の結婚を祝福して神様から御神酒を頂き、御神酒を飲むことで体の中に神様の力を取り入れる意味がある。「三献の儀」が正式名称。「誓杯の儀」「夫婦固めの杯」ともいう。
●小盃・小杯・一献目:新郎→新婦→新郎の順
(過去)新郎新婦の二人の巡り合わせを先祖に感謝する意味が込められている。
●中盃・中杯・二献目:新婦→新郎→新婦の順
(現在)二人で末永く力を合わせ生きていくことの意味が込められている。
●大盃・大杯・三献目:新郎→新婦→新郎の順
(未来)一家の安泰と子孫繁栄の願いを込めている。
参進の儀
参進の儀(さんしんのぎ)とは、神前結婚式の儀式のひとつで、神前式における新郎新婦入場。結婚の儀を告げる太鼓の音や雅楽の調べが境内に響き渡る中、神職・巫女に先導された新郎新婦の行列が厳かに本殿・御社殿まで進む「参進の儀」に始まり、本格的な儀式が執り行われる。歴史ある神社において、伝統的で荘厳な雰囲気の中での本格神前式が人気がある。
玉串奉奠
玉串(たまぐし)とは神事に用いられる道具の一つで、榊などの常緑樹の小枝に紙垂(しで)や木綿(ゆう)をつけたもの。玉串奉奠(たまぐしほうてん)とは「玉串を奉(たてまつ)りて拝礼」という意味で、神事において慶事に限らず弔事にも必ず行われる、神様へ「玉串」を捧げて拝礼する儀式。玉串奉奠は仏式の焼香にあたるものといえる。
玉串奉奠の儀式の作法は、神前に進みでた新郎・新婦が神官や巫女に一礼し、玉串を両手で受け、右手で枝の根元をつかみ左手で葉を支える。玉串を自分の顔に寄せて祈念する(願意を込める)。玉串を収めた後、「二礼二拍手一礼」で拝礼する。
親族杯の儀
親族杯の儀(しんぞくさかずきのぎ)とは、神前挙式の儀式のひとつ。両家の家族が親族となった誓いの杯を交わす儀式。親族固めの杯ともいう。巫女が両家の上座のから順にお神酒を注いで回り、両家列席者全員の前の杯にお神酒が注がれたところで、列席者一同起立し、巫女の合図で一斉に杯を三口で飲み干す。これで両家が親族として固まったことを意味する。親族杯の儀の後、斎主祝辞、斎主による儀式終了の挨拶をして神前式は終了する。その後、先導に従って新郎・新婦、媒酌人が退場し、続いて列席者一同揃って起立し、神前に一礼して退場する。
水合わせの儀
水合わせの儀とは古来からの儀式で、新郎新婦の互いの実家の水を汲んできて、ひとつの杯に注ぎ合わせた水を飲む儀式。別々の水(環境)で育った新郎新婦が、それぞれの家風の違いを乗り越えて一つとなり、二人で新たな家庭、水、環境を築いて行けるようにとの願いが込められている。水は両家の母親が朝一番で汲んできたものを合わせるのが正式。水合わせの儀は人前式、神前式にて行われることが多い。
水だけでなく地酒やワインを注いだり、グラスを積み上げてシャンパンを注ぐシャンパンタワーのセレモニーとして行われることもある。水合わせの儀を現代風にアレンジしたのが「ルミファンタジア」で、2種類の液体を混ぜ合わせることで化学反応を起こし、液体が発色・発光させる演出。アクアファンタジア、シュクレファンタジー、アクアイリュージョンなどとも呼ばれる。
水合わせは、元々は花嫁が嫁ぎ先の水に故郷の水を合わせて、少しずつ嫁ぎ先の水に慣れるために始まったとされる。また、水が合う=嫁ぎ先の家庭に馴染む、健康で幸せな家庭を築く、新婦の実家には戻らないという意味もある。